2009年5月19日火曜日

クオリアとゲシュタルト

ラマチャンドランの「脳の中の幽霊」(角川書店)を読みました。自分の体という認識やモノが見えるという感覚はすべて脳が作り出したものだという「事実」を、様々なシンドローム(症候群)をもつ患者の脳を調べた「事実」から明快に論じています。またそうした「事実」を確認できる簡単な実験がたくさんあり、家族で楽しみました。
そうした「事実」の多くはゲシュタルトの法則を満たしているようです。たとえばテーブルの下に左手を隠し、他の人にその左手とテーブルの上を同時に同じリズムで指で叩いてもらうと、あたかもテーブルから叩かれた感触が伝わってくるように錯覚します。この事実は、ゲシュタルトの近接の法則を満たしています。また、腕を失った人が幻の腕の痛みに悩まされる「幻肢」を治すために、残っている腕を鏡に投影し、あたかも失った腕があるかのように脳を錯覚させることが有効だそうです。この事実はゲシュタルトの対称の法則に他なりません。
本書の最後では、これから解決される問題としてクオリア(主観)が挙げられ、検証されています。クオリアという言葉は最近よく耳にします。「リンゴの赤さ」がよく引き合いに出されます。自分という意識(自意識)がどこから来ているのか、ということが問題のようです。このクオリア問題に対しては、クオリアは物理的な肉体から切り離された次元にあるという考えと、脳を含めた物理的な肉体から生じるという考えとに、大きく別れるようです。私自身はこの本を読み、クオリアもしくは意識は、記憶(脳細胞の刺激パターン)のゲシュタルトだと強く再認識しました。これから脳に関する事実とゲシュタルトとの関連性を調べていこうと思います。

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