2009年5月19日火曜日

隠された次元

Warped Passages - Unraveling the mysteries of the universe’s hidden dimensions (Lisa Randall, HarperCollins Publishers, 2005)という本を今、読んでいます。
私たち人間は三次元の世界に生きています。このことは、前後、左右、上下の三方向には、私たちはなんとか移動できるという意味です。「時間」という次元もありますが、過去にさかのぼることはまだできませんので、私たちが自由になるのは三次元空間ということになります。しかし、アインシュタインの相対性理論によれば、時間と空間とは切り離すことができないそうです。たしかに空間を移動するには必ず時間がかかります。つまり、私たちが通常「認識」できるのは三次元空間と時間の一緒になった「時空間」ということになります。
私たち人間の多くは、この三次元空間プラス時間の「時空間」を前提として考え、行動しています。つまり私たちの多くの宇宙観は三次元プラス時間です。しかし、宇宙が私たちが認識できるだけの次元しかないと考える科学的根拠は何もありません。それこそ「思いこみ」です。このLisa Randallの本は、そうした私たちの宇宙に対する「思いこみ」を科学的に解消してくれる本だと思います。
日本をはじめとする先進国の多くの社会では、私たち人間は三次元プラス時間の宇宙観をあまりに絶対視ししすぎているように思います。つまり物質と時間を絶対のものとした考えや行動、価値観などが生み出した社会です。この物質と時間を自由にできる「道具」がお金です。もちろん、いくらお金があっても時間をさかのぼることはできませんが、お金を出せば空間を早く移動することができます。まるで、ミヒャエル・エンデの「モモ」の中で、お金で時間が買えるような社会です。しかし、愛や家族、好奇心など、お金では自由にならない、三次元プラス時間を超えたものもあります。こうした、お金ではどうにもならない「現実的」ではないものが軽視されていることが、私たち人間にとって住みづらい社会を作ってしまっているように感じます。この本を読むことで、三次元プラス時間の「思いこみ」から自由になりたいものだと思います。

0 件のコメント: