2009年6月8日月曜日

公開授業


先週の土曜日に,大学祭のイベントで公開授業があり,私のムーミンの授業をお披露目してきました.3部構成で,1部あたり30分です.90分間話し続ける自信がないので,細かく分割したのです.
第1部は,私の専門であるコンピュータとムーミン物語の関係について,視覚や触覚に関する簡単な実験を紹介しながら解説しました.私たちの知覚は,物理的に近いものや類似したものを一つのまとまり“ゲシュタルト”として認識しますが,それは私たちの知識や思考も同じです.知識や思考におけるゲシュタルトが物語です.コンピュータが人間の知識創造を支援するためには,物語を理解することが不可欠です.
第2部では実際にムーミン物語がどのように解釈できるかを説明しました.『ムーミン谷の仲間たち』という9つの短編集の1番目の「春のしらべ」という作品を,物語の構造と意味という観点から読み解きました.そうするとムーミン物語全体に共通するテーマ“より大きな個の獲得”というメッセージが見えてきます.
第3部はフィンランドの教育の紹介です.フィンランドは学力世界一ということで,世界的に注目されていますが,フィンランドの教育が導入している“社会構成主義”という考えはほとんど着目されていません.社会構成主義では知識や個を社会的関係の集合として捉えます.ですので,フィンランドの教育では個人の知識を図るテストは行われません.そして社会構成主義では知識や個を“NARRATIVE(物語)”として捉えます.フィンランドの教科書は物語なのです.
とまあこんな話をしたところ,ムーミン物語を読んでみたくなった,フィンランドに行ってみたい,という感想をもらうことができました.また,かつての受講生からはまた素晴らしいハンコを差し入れにいただきました.クッキーとケーキもおいしゅうございました!

2009年6月5日金曜日

べっぴんさん

妻の話である.といっても妻がべっぴんさんだと言っているのではない.だからといって妻がべっぴんさんではないとも言っていない.念のため.
昨日,妻がバイト先で掃除をしていた時の話である.シンクまわりの汚れがあまりにひどいので,「べっぴんさん」を使ったらよくね,という話になったらしい.「べっぴんさん」とはスポンジである.べっぴんさんは洗剤不要で,どんな汚れでもきれいに落としくれる.妻がバイト仲間とべっぴんさんを使って掃除をしていると,あることに気づいた.汚れが落ちるとともに,べっぴんさんが小さくなっていくのである.妻はなぜだかとても悲しくなり,涙がとまらなくなったのだそうだ.
まさに自分の身を削って汚れを落とすべっぴんさんのけなげさに心を打たれ,悲しくなってしまったのだと言う.バイト仲間からは,スポンジに感情移入できる変人と,ひとしきり笑われたそうだ.でもそんな妻がとてもいじましく思えてしまう私も変人なのか?

2009年6月4日木曜日

嬉しいプレゼント

もうだいぶ前だけど,かつてムーミンの授業を受講していた学生が,手作りのムーミンハンコをプレゼントしてくれた.彼女は消ゴムハンコにはまっていて,現実逃避にハンコ彫りをするんだとか.絵も上手だが,ハンコ彫り技術もすごい!そのハンコの画像をこのブログで掲載しようと思っていたら,ついつい忘れてしまっていた.でもやっとスキャナで読み込んだので,はじめて画像入りのブログを掲載します.レポートにこのハンコを押すのが楽しみ.全部のハンコを使いたいから,再提出者が続出するかも.とにかくありがとう!大事にします.

小さな親切

昨日の夜,駐輪場から自分の自転車を出そうとした時,隣りの自転車のハンドルがひっかかっていたため,その自転車がそのまた隣りの自転車に倒れかかってしまった.まあ倒れてないし,だいたい無理に駐輪するのが悪いんだ,と思い,ほっとこうかと思ったが,やっぱり倒してしまったのは自分だから,立てることにした.
しかしその倒れかけの自転車を引き起こそうとしたら,ペダルがそのまた隣りの自転車にひっかかっていて,結局3台の自転車がドミノ倒しとなった.余計なことをしてしまったかと,自分に腹立たしくなり,もくもくと自転車を起こしていると,近くに自転車を停めた女子学生二人が手伝ってくれた.お礼を言うと,はにかみながら去っていった.
他人の優しさに触れることができた自分は,結局のところラッキーだったのかも.