2011年1月6日木曜日

Vancouver 10th day

今日は最終日.明日はもう日本だ.と言いつつ,これを書いているのは成田空港.気温は10度近くあり,快晴.出てきた時の裏寒いじゃんじゃん降りのバンクーバーが嘘のよう.バンクーバーは今夜の9時半.そろそろ眠いぞ.バンクーバーからの飛行機はなぜか家族でビジネスクラスへ.なんとラッキーな.一人で海外に行くと時々ビジネスクラスにしてもらえることがあるけど,家族でなんて初めて.ビジネスクラスに乗るのが初めての妻と子供は大興奮.でも妻は途中で気分が悪くなり,娘は眠くて二度目の機内食は食べられず,息子は豪華なリクライニングシートの使い方が分からず,十分にその恩恵を享受できなかったようだ.私はと言えば,アペリティフにシャンパンを二杯,フルボディの赤ワインをグラス一杯,妻の飲み残しの白ワインを半分,ビール(サントリーのプレミアム)を一本,ウィスキー(サントリーの白州12年)のミニボトルを一本,と存分に堪能した.食事もさすがに美味しかった.
いやいや飛行機の話ではなく昨日のバンクーバーへ話を戻そう.昨日は雨の予報だったが朝はまだ曇り空.最後の日なのでいろいろ行こうということでデイチケットを買って,まずはUBC(University of British Colombia)へ.ここには新渡戸稲造記念公園があり,2年前に出張で来た時には行き損ねた場所.ダウンタウンからバスで30分ほど.新年早々だというのに学生でごったがえしている.ちょうど授業の合間か.地図を確認するとキャンパスはめちゃくちゃ広い.うちのメインキャンパスもかなり広いが,その裕に3倍はあろうか.ここでもリスに餌付けすることを期待して妻と子どもたちはシリアルを持参.しかし寒すぎるのか人が多すぎるのか,リスは見当たらない.記念公園はアジア研究センターに隣接していた.故千葉大教授が万博の際に設計したものらしい.この一角はまさに日本.太平洋の架け橋にならんという石碑と一緒に記念撮影.帰りにトイレを借りようと大学生協らしきところに寄ったが,ない.そして学生の長蛇の列.新入生に学生カードを交付しているようだ.どうも今日から新学期のようだ.
来た時と同じ,Granvileを通る路線バスで引き返し,Granvile Islandの近くで下車.最終日の夕飯に,先日来た時に購入した格安のスモークサーモンを購入し,妻が一度食べたいと言ってきかないフィッシュ&チップスをお昼ご飯にする.娘にはねだられてチョコチップクッキーを.同じ店でScrumpetなる見たこともないパンがあったので,そのベーコン&チーズ味のものを購入.これが恐ろしくパサポソ.そして味がない.息子のホットドッグセットについてきたコカコーラを奪って流し込む.
次はいったんダウンタウンへ戻る.ここから2グループに分かれて別行動.妻と息子は最後にStanley Parkへリスに餌やりに,私と娘は先日行ったMetrotownの巨大ショッピングモールへ買い出しに.Waterfront駅までバスに乗り,そこからSkya Trainに乗り換える.やはりここのモールはでかい.娘が見たいというシンクレアとかいう店に付き合った後,前回は行けなかった1ドルショップへ.日本の百円ショップ同様,安かろう悪かろうだ.最後にReal Canadian Supermarketに寄り,夕飯のサラダを購入.モールから出るとかなり強い雨.やはり天気予報は当たった.でもまあ今までもってくれたから良しとするか.それにしても雨がちだというこの時期,これだけ晴れが続いたのが奇跡だ.やはり娘はしずかちゃん並の強力な晴れ女だ.
Sky Trainとバスを乗り継いでホテルへ.ショッピング嫌いの息子を残し,今度はいつものMarket Placeへお土産を買いに.妻の調べたところでは,空港はダウンタウンよりだいぶ高いそうなので,ここですべてのお土産を買いそろえる.カキの薫製の缶詰が破格に安い(100円以下)なので,これで残りのパスタを茹でてあえることにする.夕飯は,この牡蠣パスタとスモークサーモン,ご飯(息子用.鍋で炊く.前回よりも上手くいった.),レタスのサラダ(マヨネーズを醤油とレモン汁とで溶いた即席ドレッシングあえ).そして私はもちろんカナディアンビール.お風呂に入ると酔いがまわって眠くなるので,お風呂の前にあらかたをパッキングしておく.そして11時頃に就寝.明日は6時に起きて朝食に行き,残りをパッキングしなくては.

2011年1月4日火曜日

Vancouver 9th day

これを書いている今は10日目の朝.昨日は10時過ぎに寝てしまったので,4時に目が覚め,6時に起床.そのおかげで10日目の活動が始まる前に9日目のブログを更新できそう.天気予報では4日(今日)から雨ということで,昨日は滞在中の晴れの日の最終日.そこで晴れの日にやっておきたいことをすることに.まずは家族の全員一致でStanley Park.Granvile Islandかチャイナタウンか,はたまたUBC(University of British Colombia)かで悩んだ末に,女チームがまだ行っていないチャイナタウンに決定.Stanley Parkとチャイナタウンはバス1本で結ばれているので効率よくわまれるだろうと判断.
Stanley ParkへはDenman通りという初めての道を通って行く.しゃれた低層アパートと瀟洒な一軒家が,うっそうとした木立に沿って立ち並ぶ.とても静かだ.数日前ほどではないが,まだまだ冷え込んでいて,車道はツルツル.バンクーバーで危うく初転びをするところだった.Stanley Parkに近づいた大きな街路樹の幹に第一リス発見.黒いリスだ.そしてその後ろから灰褐色の小柄なリスも登場.つがいだろうか.彼らは街中に住んでいるだけあって人懐っこい.あっという間に妻や子どもたちの掌から餌を取って行くようになる.しばしリスとの交流を楽しみ,名残惜しいが,Stanley Parkへ.ジカンニカギリガアリマス.
公園で最初に目指すのは,先日,アライグマがいたところ.Lost Lagoonの南端あたりの橋のたもとだ.それほど寒くはないように感じたが,Lost Lagoonの表面は子供が乗っても大丈夫なほど厚い氷で覆われている.そして橋のたもとにアライグマはいなかった.その代わり,一匹のリスが橋の上で死んでいた.先に来ていたおばさんによれば,犬に襲われたのだという.傷などは見当たらず,手を胸元でちぢこめ,真っ黒い目で見つめている様は,生きているかのよう.フサフサのはずの尻尾がシュンとすぼまっているのが唯一の死の兆候だ.ムーミン谷の冬で氷姫を見て凍ってしまった小リスのように,春の訪れとともに命を吹き返すとよいのだが.
気を取り直して先へ進む.今日は今まで通ったことのない道を通ると決めている.そのうちの一本を選び,Stanley Park半島の突端を目指す.そこにはこれまで辿り着けなかったProspect Pointがあり,その名のとおり,そこからの景色は素晴らしいらしい.1周が9kmほどの小さな半島だが,小高い半島の中の森の中はぐねぐねとうねる小径が複雑に張り巡らされている.ところどころ森が明るくなっているのは,嵐の影響か,巨大な木々が根こそぎ倒されている場所だ.上り坂あり,下り坂あり,木々の根を踏み越えて行く箇所やぬかるんだ箇所などがあり,途中で小鳥やリスに餌をやりいの,主人と散歩中の大きな犬が我々が餌をやっているリスに襲いかかろうとするのに愕然としいの,で,ホテル出発から2時間ほどかかってようやくProspect Pointに到着.もう11時半だ.しかしのんびりとした森の散策は楽しい.そしてNorth VancouverへとつながるLions Gate BrigdgeのたもとにあるProspect Pointからの眺めは,噂に違わず絶景.大きな橋越しに広がるVancouverとNorth Vancouverの間の入り江.そこに浮かぶ巨大なタンカー.橋の向こう,North Vancouerの町並みを見下ろすように,その橋の名の由来にもなった白い峰を仰ぐ.西側には静かな海が広がり,小さなタグボートが意外に速いスピードで街へと向かう.その上空にはカモメと一緒に飛行艇が上空を目指す.
束の間の開放感を味わった後,再び森へ分け入る.目指すはダウンタウンからStanley Parkへの入り口にあるヨットハーバー.そこらあたりからチャイナタウンへのバスが出ているはず.森を抜けたところは,だいぶ前に行ったライトアップ会場の付近.ここには水族館もある.そして海へと抜ける直前に広い芝生にまばらに生えた大きな木々.そして,いるわ,いるわ,たくさんのリス,リス,リス.黒いのが多いが,茶色に近いものは,灰褐色のものもいる.当然ここでも餌やりターイム!30分以上も餌付けをし,それでもまだ名残惜しそうな子どもたち.彼らをリスから引きはがすと,子どもたちは開口一番,お腹空いた!リスの餌(ホテルの朝食のシリアル)でも食べてとけ!
今日のお昼はチャイナタウンで食べ歩きの予定なので,途中でMacなどに捕まるわけにはいかない.そそくさとバス停を目指す.チャイナタウン行きのバスが目の前を横切るのを見て,方向は間違っていないことを確認.バスの後を追う.しかし,バス停は見当たらず.まあ一つ先のバス停は市内へ向かう大きな通り沿いなので,そこで捕まえればいい.と思ってその大通りに出ると延々と続く渋滞.後ろを振り返ってもバスのバの字も見当たらない.たしかにガイドブックにバスの時刻はまったく当てにならないとあった.特に,ダウンタウンとNorth Vancouverを結ぶこの大通りはいつも車が長蛇の列.そこでバスを断念し,Skya Trainへ計画変更.しかし,一番近いBurrard駅まででも結構な距離.子どもたちは相変わらず,お腹空いた,疲れた,を連呼する.しかし子どもたちも,先日,息子とお土産に買った肉まんが食べたいので,なんとか辛抱している.Burrard駅から二駅目がBC Stadium & China Town駅.駅から中華街まではまだもう少し歩かなければならないが,空腹は最良のソース.立ち並ぶ乾物屋や八百屋,漢方薬の薬局などを脇目に,先日の肉まん屋を目指す.あった!そして蒸し器には大きな肉まんが鎮座している.英語があまり通じないらしい,感じ悪いお姉さんから,なんとか肉まんを4つゲット.近くの,ベンチだけの小さな公園で頬張る.うーん,至福の一時.空腹に耐えた甲斐があったというもの.子どもたちと妻は,妻にねだられ購入した中華蒸しパンも頬張る.これで夕飯まではもつだろう.バス等のチケットは90分以内なら,バス,Sky Train,Canada Line(空港までのびている),Sea Busに乗り換え放題.というわけで,駅まで戻る時間がもったいないので,中華街からダウンタウンへ向かうバスに飛び乗る.Sky Trainの駅から中華街のあたりまではさほど危険を感じなかったが,中華街からダウンタウンへ向かう通りやそこから手を広げる薄暗い小路は,廃屋やシャッターの閉まった店が多く,落書きやゴミ,浮浪者なども多い.華やかな摩天楼の陰の部分を見るようだ.ただ,ここだけではなく,街中にも乞食はたくさんいる.ただ街角に座って小銭をねだる者,コンビニのドアを空けて小銭をせがむ者,帽子を手に通りすがりの人たちに小銭をせびる者.街頭ミュージシャンも多い.そんな彼らを取り囲むのは全面鏡ばりの高層住宅&ビルであり,彼らの横をポルシェやフェラーリが通り過ぎて行く.決して健全とは言えない社会がここにはある.

Vancouver 8th day

えー,今日は何をしたかな?このところ朝起きるのも遅くなり,ついに一日遅れとなってしまった.8日目のブログを更新せんとしている今はすでに9日目の夜.カナディアンビアとお風呂のせいで,すでに瞼は重い...いやいや昨日のことを書かねば.
昨日は1月2日(日)だったから,女チームと男チームで別行動.女チームは街へショッピングーへ,男チームは山へ,じゃなくてScience Worldへ.そして午後2時に巨大ショッピングモールのあるMetrotown駅のホームで待ち合わせ.
Science Worldは,新さっぽろにある青少年科学館のようなものらしい.ちょうどこの時期,日本でもやっていた人体の不思議展のような特別展をやっていて,息子の希望により見に行った.人体と脳に関する展示で,以前から脳に興味のある私にはとても有意義な展示だったが,息子にとっては英語が読めず,展示内容を私が翻訳するだけではつまらなかったようだ.これに一念発起して英語を勉強しろよ!息子よ!
そして家族でMetrotownへ.両チームともお昼を食べていない(女チームはおやつは食べたらしい)ので,まずはフードコートで腹ごしらえすることに.しかし,歩けど歩けど着かない.マップを見ると恐ろしく広い.ざっと桑園ジャスコの5倍ほどある.やっと到達した,こちらも広大なフードコートで,男チームはハンバーガー,女チームはタコスをチョイス.そしてショッピング嫌いの息子を休憩コーナーに残し,4時半待ち合わせで解散.私はまっすぐにスポーツショップへ.まっさきにチェックするのはもちろんバドミントンコーナー.ラケットの品揃え,うすっ!しかもろくなラッケットを置いてない.カナダにおけるバド人気の低さを物語っている.しかもウェアやシューズは皆無.それに比べてランニングやアイスホッケー,スキー&スノボの充実ぶり.こんな国には二度けえへんぞ!まあとにかくかねてから物色していた,薄手だけども温かい手袋をゲットとして待ち合わせ場所(=息子のいる所)へ.だいぶ遅刻して女チーム到着.そして息子が一言.もう4時半なの?こやつは本さえあればいくらでも時間がつぶせるらしい.帰る前に,このショッピングモール内にあるReal Canadian Supermarketで夕飯の食材を調達することに.このスーパーも恐ろしく広い.ここだけで桑園ジャスコの一階分は裕にありそうだ.今日の夕飯はまたもやパスタ.そのパスタコーナーの左手に海鮮コーナー発見.行ってみると生け簀にロブスターといつぞや食べた大きなカニが!Grandvile Islandのマーケットよりもだいぶ安い.私はカナダにロブスターを食べにきたので,小振りなやつを早速注文.カットするかと言われたが,Nooo!と答え,生きたままをビニール袋に入れてもらい帰還.
男チームはデイチケットという市営交通全線乗り放題チケットがあり,女チームは今買ったチケットが90分間乗り換え放題なので,Waterfront駅でSeabusに乗り換えて,も一度North Vancouverへ.相変わらず乗客はわんさかいる.こんな時間から何しに行くのだろう?ま,それはさておき,Lonsdail Marketの展望台にのぼり最高の夜景を楽しんだ後,すぐさまDowntownへ取って返す.そのまま時間内なのでSky trainに乗り換えてBarrard駅まで行き,バスに乗り換えることに.しかしバスを待っている間に時間切れ.みんなでいつもの道をホテルまで歩く.
夕飯はReal Canadian Supermarketで,珍しさのあまり購入した餃子とパスタ(ミートソース).餃子には得体の知れない真っ赤な液体とチリソースのような液体.勇気ある妻が真っ赤な液体を皿に空け,試食.普通のお酢だと言う.しかし色からして普通じゃない.まるで血のようだ.私は醤油だけで食べる.この餃子,決して美味しくはないが,まあ餃子と呼べる範囲の味だった.あー,餃子が食べたい.帰国したらすぐに三連休.絶対に餃子を作ろうと決意したのであった.

2011年1月3日月曜日

Vancouver 7th day

明けましておめでとうございます.海外での初年越しです.昨夜は年越しの瞬間を起きていようと固く誓ったはずなのに,10時でダウン.今朝もまた5時半に目覚めてしまいました.しかも,夢に富士山や鷹,茄子はいっさい出てきませんでした.うーん,今年はどうなることやら.
ま,9時近くまで寝ていた家族を待って,気を取り直して朝食へ.毎日ほとんど変わらぬメニューだが,やはりあると助かる.前日の夜に翌日の食料のことを心配しなくてすむ.ただまあ野菜があるといいなぁ.など言いながら朝食会場へ.遅くなると激混みなのは経験済みなので覚悟して行ったが,拍子抜け.みんな昨夜騒ぎすぎて起きてこれないらしい.いつものように入り口付近から,クロワッサン(他にも甘そうなタルト各種),角切りフライドポテト,ソーセージ,パンケーキORフレンチトーストはショートカットして,スクランブルエッグ&チーズ入りスクランブルエッグORゆで卵,マフィン(他にもベーグルや食パンなど)をチョイス.そして半分に切れているマフィンを焼いていると,隣には見慣れぬ銀色のマシンが.小さな女の子二人とそのお母さんが何かをそのマシンで焼いており,はみ出た生地をヘラでそぎ落としている.そのマシンの焼き型からワッフルマシンであることが分かった.元旦の特別食はワッフルであるようだ.そのことを家族に話すと女チームは大興奮.皿に取ってきたものを平らげ,ワッフル作りへ.3分ほどで出来るようだ.直径20cmほどのワッフルは4つに切れ目が入っているので,4人で分ける.フワフワしていて,しかも生地自体が甘くないのでGood.
元旦の特別食を満喫したら,Stanley ParkへGo.今日のメインは午後2時過ぎからEnglish Beachで行われる寒中水泳大会の見学.それまで,先日できなかった餌やりをするのだ.最初に訪れた時に小鳥たちに餌をやったポイントはBeaver Lakeのほとり.ホテルからは小一時間ほどかかる.元旦の人気のない街をぶらぶらと散歩する.今日は比較的温かい.これなら公園で凍えなくてすむかも.公園の入り口付近の大きな針葉樹(クリスマスツリーにはもってこいだ)が乱立する芝生の広がった場所で第一リスを発見.すると次々にリスが出没.先日はなかなか餌をやれなかったリスに再度挑戦.ここのリスたちは街に近いせいか,幾分人慣れしている.しばらくすると撒いた餌をとっていくようになった.しかし人の手からは取ろうとしない.唯一,息子の手に近づいてきたが,指の先を噛んで逃げて行った.優雅な半弧を描きながら逃げて行く様は愛くるしい.
しかしここで時間をつぶしてしまうわけにはいかない.リスもいいが,小鳥たちが直接手から餌を食べてくれる体験がもう一度したいのだ.名残惜しいが,未練を振り捨て巨大な針葉樹が生い茂る森へと足を踏み入れる.その途端,空気が変わる.森の冷気が体を包み込む.見れば周囲の草木は霜が張って真っ白.道の土は固い霜柱で持ち上がり,水たまりは厚いにごりガラスのような氷で覆われている.子どもたちはそのガラスを踏み割って遊んでいる.自分の子供時代を見ているようだ.ふと行く方を見やると,大きな茶色をした毛むくじゃらのものが道をのそのそ横断していった.もしかしてビーバー?
ビーバーの姿を追い求めつつ,子どもたちが冬と戯れる姿を時々振り返りながら進んで行くと,例の場所に到着.先客が5,6名.やばい.すでに手の先がしびれてきた.しかし妻と子どもたちはそんな寒さもどこへやら,さっそく手袋を脱いだ掌に餌を載せて小鳥たちを誘惑する.たくさんいて,すぐに寄って来る小鳥は体長が5cmほどの本当に小さな鳥.私も餌のない,手袋をしたままの掌を指し出してみる.さすがに餌がないと寄ってこない,と思いきや,アホな一匹が乗ってきた.腹が白く,背と羽は濃い茶色.頭は黒っぽい.その細い足は黒くて細い針金のよう.こんな小鳥たちがたくさん寄ってくれば,そりゃあ楽しいだろう.そうこうするうちにリスたちも登場.リスたちは相変わらず手からは餌を取らない.ふと視線を感じて後ろを振り返ると薮の木の枝に青い鳥が!なんて美しい!頭は黒い鶏冠(とさか)のように,毛がモヒカンになっている.首のあたりは黒に近いが尾の先にいくにつれ青みが増す.濃いメタリックブルー.体長は20cmほど.カメラを向けると薮の中に逃げてしまう.リスに負けず劣らず警戒心が強い.ふと周囲を見回すと仲間が集まってきている.そして次第に警戒心が低下してきたのが分かる.とは言っても人間の手でばらまいた餌を食べようとはしないが,シャッターチャンスは増えた.他にも数種類の鳥たちがいた.そして帰り道にはアライグマも.人慣れしているものの警戒心は強く,顔は常に我々に向けつつ,与えられた餌は手探りでつかんで食べる.やはり野生なのだと分かる.とにかくここStanley Parkは動物たちの楽園であり,人間にとっては癒しの空間だ.
妻と子どもたちは無心に動物たちと戯れ,私は無心にシャッターを押しているうちに時間はあっという間に過ぎた.全員手はかちこち.震えながらEnglish Beachを目指す.近づくにつれて人口密度はどんどん高くなり,会場らしき浜辺は人でごったがえしている.沖合にはヨットや小型船が待機している.おそらく寒さで溺れた人や心臓マヒを起こした人を助けるのだろう.陽気なかけ声とともに世にも破廉恥な格好をした集団や,仲間内でお互いの仮装を披露し合うグループ,家族で寒中水泳への意気込みを語り合う人たち,などなど,大変な熱気に包まれている.そうして開始!といっても花火が打ち上がるわけでもなく,わぁと歓声が上がったかと思うと,人ごみの彼方の海へ思い思いの格好をした人が分け入って行く.多くの人は肩まで使って引き返し,残りの少数が,沖合といっても浜から20mほどのところに停泊しているヨットや船のあたりまで泳いで引き返してくる.始まる前のあの熱気はなんだったのかと思うほど,あっけなく終了.街へと戻る人の波に乗り,我々もいったんホテルに戻る.もう3時をまわり,夕暮れが近づいている.
疲れたという,ショッピング嫌いの息子をホテルに残し,三人でダウンタウンへショッピング.The Bayというデパートの地下で高級チョコが半額.孫へのプレゼントにと買いにきていたおじいさんが,しきりにGood buyだというので,たしかにcheapだというと,ここはデパートだからcheapではないとたしなめられた.その後,娘が見たいというH&Mという店にいったり,カナダブランドのRootsという店にいったりして,5時過ぎにホテルに戻る.今日は元旦ということで,夕飯はステーキ.私と娘はポーク,妻と息子はビーフ.前回はちゃんと肉をたたかなかったので,今回は念入りに叩く.そのおかげでビーフもかなり柔らかかった.でもカナダと言えばやっぱりポーク.柔らかく癖がなくて美味しい.元旦は酒屋が閉まっており,ビールは一本のみ.明日こそはと固く心に誓った.

2011年1月2日日曜日

Vancouver 6th day

昨日は市営交通の一日券(デイチケット)を購入して行動範囲を少し広げてみた.まずは来た時に降りたYale Town Round House駅からカナダラインに乗って,King Edward駅へ.そこから山の手へ5分ほど歩くとQueen Elizabeth庭園に辿り着く.このあたり,Vancouver郊外はダウンタウンとは違って空が広い.一軒家ばかりの閑静な住宅街に囲まれるように小高い庭園がある.一番頂上にはドーム型の温室があり,ここだけ有料.それにしても寒い.立派な霜柱があちこちに.小さい頃の冬の日を思い出す.霜柱は冬の到来を告げる.霜柱を踏み砕くのが毎朝の楽しみだった.それを今子どもたちがしている.札幌ではほとんど霜柱を見ない.雪が降ってしまうからだろう.凍えながら遠くにダウンタウンを見る.摩天楼の喧噪が嘘のようだ.
次はKing Edward駅からダウンタウンのWaterfront駅へ.ここはカナダプレイスやギャスタウンの入り口であり,様々な交通機関の乗り換え駅である.ここからSea Busに乗り,対岸のNorth Vancouverへ.North Vancouverはバンクーバーオリンピックの会場にもなったウィスラーへの入り口であり,近郊にはいろいろなゲレンデがある.100人近く乗れるSea Busにも多くのスキーヤーやスノーボーダーが乗っている.しかし我らの目的はLonsdale Quey Market.ここで手頃な海鮮をゲットすること.まずは腹ごしらえに,いい匂いのするスープとパンのセットを.スープの量が多いので二人前を4人でシェア.ただし付いて来るパンだけでは少ないので,ダウンタウンにもあるという美味しいパン屋でパンを追加購入.野菜とTurkeyのエスニックなスープと,じゃがいもとサーモンのスープは,どちらも具沢山で美味しい.Turkeyはこちらではメジャーな肉のようで,スーパーでもよく見かける.とても淡白でヘルシーそうな肉だ.雑貨,海鮮,肉,野菜,果物,おもちゃなどの店とともに,様々な国の料理を出す店が立ち並ぶ.海鮮はGrandvile Marketの方が安いし,品揃えも豊富なのでそちらで購入することにし,オレンジと梨,そしてパパイヤを購入.意外にも,ヴァンクーバーは果物が安くて美味しい.ダウンタウンに戻る前にマーケットの展望台に登る.展望台といっても,港に突き出した鉄塔のようなもの.結構な高さがあり,しかも隙間だらけの階段や手すりが恐怖を誘う.しかしその恐怖に耐えれば,これまた絶景が待っている.といってもThe Look Outほど高いわけではないが,海の向こうにダウンタウンの近代的な都市が広がる光景は絵はがきのよう.夜景はさぞかし奇麗だろうということで,日が沈んでからまた来ることにする.
Waterfrontに戻ると,女チームはショッピング,男チームは危険だと言われているチャイナタウンへ.Waterfront駅からスカイトレインに乗り,BCスタジアム&チャイナタウンという駅が最寄り駅.駅の周辺は高層アパートが立ち並んでいる.駅から徒歩5分ほどで中国式庭園に辿り着く.三国志が好きな息子のために土産物屋によるが,まあ何もカナダで買うような物はない.そしていよいよ中華街へ.漢字表記の看板に,海産物や茸類の乾物屋,チャイナドレスや勾玉を扱う土産物屋など,アメリカ的なヴァンクーバーの中でも異質な空間が広がっている.大きな海鮮饅頭が6個入った袋を6ドルで購入し,待ち合わせのEnglish Beachを目指す.今日こそ日没を見るのだ.
C21番というバスだけがビーチへ行っているので,ビーチの方へ歩きつつ,そのバス停を探す.しかしなかなかなく,結局ビーチまで歩いた.到着したのは待ち合わせ時間である4時の5分ほど前.到着してほどなくして女チームも到着.すでに人でごった返す砂浜でその時を待つ.冬の日没は速い.キツラノのMOV上空にあった太陽がみるみるうちに沈んで行く.オレンジ色に輝く宝石を載せた指輪のようだ.その宝石が徐々に小さくなり,ついには薄紅色の空だけが残され,それも束の間,青みがかった黒いベールが空を覆って行く.日没は日の出と同じように神秘的だが,日没は日の出よりも厳かだ.
疲れたという軟弱な息子をホテルに置いて,残る三名で再びNorth Vancouverを目指す.今度はバスでWaterfront駅へ.なんと5時以降は市営交通のすべてが無料になっている.もちろんSea Busも無料だ.大晦日にはこのような特別な計らいがあるようだ.North Vancouverから眺めるダウンタウンの夜景は圧巻だ.海に浮かぶピンクゴールドの鉱山のようだ.
年越しの夕飯は海鮮饅頭とトマトソースのパスタ.そして年越しには蕎麦の予定だったが,睡魔に負けてまたもや撃沈.次いで娘が撃沈し,新年のカウントダウンがはじまる直前に息子もダウン.年明けまで起きていた妻であったが,隣室の若者たちのおおはしゃぎで寝付けなかったようだ.未だに多くの店でクリスマスの余韻を引きずっているのに,同時に新年を祝うというのも不思議なものだ.